2024年4月1日より乳児の定期ワクチンに変更があります。
変更点は大きく3点になります。
1.4種混合ワクチンから5種混合ワクチンへの変更
従来の4種混合ワクチン(ジフテリア+破傷風+百日咳+ポリオ)にHibワクチン(インフルエンザ桿菌B型)が含まれます。つまり、2剤がまとめられることで注射が1つ減ります。変更にあたっての注意点が2点あります。
●4種混合ワクチンで接種を開始した場合、5種混合に乗り換えることは推奨しません
痛い注射を1つでも減らしてあげたいところですが、4種混合で始めたお子様はそのままのスケジュールで進めさせてください。4種から5種に乗り換えることは医学的に特段問題になることはないと考えますが、メーカーからは推奨されておらず、当面の間、乗り換えには慎重になるべきと考えます。
●5種混合ワクチンは2製剤あります
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- クイントバック(従来の4種混合ワクチン:クアトロバック+従来のHibワクチン:アクトヒブ)
- ゴービック(従来の4種混合ワクチン:テトラビック+新規のHibワクチン)
これら2剤も相互の乗り換えは推奨されていません。つまり、クイントバックで開始したお子様はその後もクイントバックで接種を進めていきます。ゴービックも同様です。
2.肺炎球菌ワクチンが13価から15価にパワーアップします
〇〇価というのは細菌やウイルスの種類の単位で、数が多ければ多いほど、多くの種類に対応できるということです。もともと肺炎球菌ワクチンは7価製剤から接種がはじまり、先月まで13価にて接種を実施していました。この度、15価製剤が使用できるようになったので、4月1日よりバクニュバンス(PCV15)にて接種をさせていただきます。なお、この肺炎球菌ワクチンに関しては、乗り換えが可能です。つまり、先月まで13価(プレベナー:PCV13)で接種されていた方も途中から15価に変更が可能です。この乗り換えに関しては、安全性や有効性の試験が実施され、下記の通りいずれも問題ないことがわかっています。なお、途中から乗り換えても、新しく加わった2つの肺炎球菌に対する追加免疫も得られることが証明(海外第Ⅲ相試験:Billi A et al. Vaccine 2023;41(3):657)されています。
3.注射方法を変更します(皮下注射から筋肉注射へ)
日本ではワクチン接種はこれまで皮下注射にて行われてきました。しかし、皮下では局所反応(接種後の腫れや痛み)が出る確率が高く、海外では筋肉注射が推奨されギャップがありました。今般、上記の新規ワクチン承認にあたり『筋肉注射』も承認されました。免疫の付きの向上も期待されますので、当院では5種混合ワクチンと肺炎球菌ワクチンは筋肉注射にて接種をさせていただきます。
具体的な接種部位は乳児(1歳未満)の場合は肩よりも大腿が推奨されています。生後2か月の初回ワクチンはロタウイルスワクチンの経口投与に加え、3つの注射(5種混合+肺炎球菌+B型肝炎)になりますが、5種混合と肺炎球菌は両足に筋肉注射し、B型肝炎は従来通り肩に皮下注射させていただきます。
ご不明な点や接種にあたってご希望があればご遠慮なくお申し付けください。
また、当院では世田谷区以外のお子様の乳幼児ワクチンも承っております。
今般のワクチン変更に伴って、ワクチン予診票の取り扱い可能なものとそうでなものが出てくる可能性があります。区外からの接種の方は事前にご連絡いただけますと大変助かります。
当院では乳幼児ワクチンでご希望に応じて『育児相談』や『頭のかたち相談』も承っております。こちらもご希望の方は事前にお声がけください(もちろん、当日でも出来るだけ対応します)。
ワクチンを通じて、一人でも多くのお子様やご家族様が安心してお過ごしいただけるよう、全力でサポートさせていただきます。
院長 山岡正慶