小児のコロナ関連で、2つほど情報提供です。
1.第7波に入ってから急性脳症が急増してい可能性があります
2.5~17歳のコロナワクチン接種は学会より『推奨』になりました
1.第7波に入ってから『急性脳症』が急増している可能性があります
今般の第7波は第6波をはるかに超える大流行となっています。
小児世代も非常に多く感染しており、そのほとんどが軽症で1-2日の発熱で元気になっていきますが、ごくまれに入院を要すお子さんがいます。2021年夏のデルタ株以降、日本小児科学会と日本集中治療医学会が共同で小児のコロナ感染の重症例の調査を行っており、ほぼリアルタイムで我々に報告が来るようになっています。山岡は本調査が始まってからこれらのデータをずっと注視していますが、小児では重症化は極めて稀で、感染しても特別な心配は無用という考えで来ていました。しかし、今回の最新データで気になる点がありました。
◆最新のデータ(n=63, 7/2-8/7)
● 集中治療室入室:52.4%
● 急性脳症の診断:25.4%
● MIS-Cの診断:3.2%
● けいれん:22.2%
※MIS-C…川崎病様の全身性炎症を呈す小児特有の重症化症状
◆第6波(n=233, 1/7-7/15)
● 集中治療室入室:40.5%
● 急性脳症の診断:6%
● MIS-Cの診断:8.2%
● けいれん:22.8%
急性脳症は一般的に何らかのウイルス感染がきっかけで脳に強い炎症が起きてしまう疾患で、原因ウイルスはインフルエンザ、突発性発疹(HHV-6)、ロタウイルス、RSウイルスなど様々です。これまで小児のコロナ感染でも急性脳症は起きうるとされていましたが、特別多い印象はなく、通常の風邪ウイルスで起こりうる範囲のリスクと思っていましたが、今回のデータでは明らかにコロナによる脳症の報告が多く、今後のデータの推移に注目です。
<急性脳症を疑う症状>
・長いけいれん(発作時間が10分以上)
・繰り返すけいれん(1日に2回以上)
・年長児(6歳以上)のけいれん
・意識障害(刺激に対する反応が乏しい、すぐに眠ってしまう)
など、
<通常の小児のコロナ感染>
・高熱(39-40℃)になるが、1-2日で解熱
・72時間以上の発熱は稀
・5歳以上の男児は発熱時に腹痛や嘔吐が多い
・乳幼児では下痢が散見され、まれにクループや熱性痙攣を伴う
成人では特別重症例が増えているような様子はありませんが、感染した親御さんを診ていると、今回は第6波よりも明らかに味覚嗅覚障害が多い印象があります。
小児においては、特に上記、急性脳症を疑う症状があったら早めに医療機関を受診するようお願いいたします。
2.5~17歳のコロナワクチン接種は学会より『推奨』になりました
昨日、小児科学会より新たな提言が出ました。
http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=451
先行して進んでいる海外のデータをもとに検証され、まず小児に対する安全性が十分確認できたこと、さらに感染予防や重症化回避に寄与するデータも確認でき、リスクとベネフィットと天秤にかけて明らかにベネフィットが上回るという結論となりました。接種の推奨度に関しては、ざっくり、インフルエンザワクチンと同じ程度になったと言ってよいかもしれません。
上記のように急性脳症が本当に増えてくるとなると、インフルエンザと同様にワクチンの予防効果に期待したいところです。
また気になる情報があったらお知らせします。
熱中症もコロナと同様に強敵です。
引き続き、体調管理にお気をつけいただき、どうかよい夏休みをお過ごしください。
院長 山岡正慶