小児総合診療
皮膚科疾患
- あせも
- 乳児湿疹
- 新生児ざ瘡
- 乳児脂漏性皮膚炎
- 皮脂欠乏症
- おむつかぶれ
- ニキビ(尋常性ざ瘡)
- とびひ(伝染性膿痂疹)
- アトピー性皮膚炎
- 蕁麻疹 (じんましん)
- 水いぼ(伝染性軟属腫)
- いちご状血管腫
- 虫刺され・虫による皮膚炎
- あざ(母斑)
小児漢方について
漢方で効果が期待できる疾患や症状
- 便秘や胃もたれ
- 繰り返す中耳炎
- 夜泣き
- 乳児の肛門周囲膿瘍
- 炎症などの器質的な問題がない長引く咳・腹痛・食欲不振
- 緊張性頭痛, 片頭痛, 起立性調節障害などの頭痛
- 難治性のリンパ管腫
はっきりとした症状がないけれど体調が悪い、虚弱体質で体調を崩しやすいなども漢方薬による効果を得られることがあります。
お子様の体調に関してお悩みがある場合は、お気軽にご相談ください。
おねしょ(夜尿症)について
夜尿症は、5歳で15%、10歳で5%、15歳で1%の発症頻度とされています。おねしょは自然に治ることが多いのですが、小学校に入学して宿泊する機会が増えるとコンプレックスに繋がる可能性があることから、5歳頃に治療をご検討されるケースが多くなっています。
5歳以上で1か月に1回以上のおねしょが3か月以上続く場合は、夜尿症の可能性があります。
早めに適切な治療を受けることが重要
夜尿症は適切な治療を行うと、1年で50%以上、2年で80%以上が治るとされています。ただし、10歳以上になってから治療をスタートした場合、治癒率が下がってしまうとされていますので、早めに適切な治療を受けることが重要です。
夜尿症の原因
就寝時につくられる尿の量が多すぎる、または就寝時に膀胱にためられる尿の量が少ないという原因によって起こっているケースが、ほとんどを占めます。また、遺伝的な要因も発症に関与するとされていて、両親がどちらも夜尿症の既往がある場合には、こどもは75%の確率で夜尿症になるとされています。
夜尿症と失禁
昼間のお漏らし、慢性便秘や便失禁、成長や発育歴の問題などがある場合は、夜尿症ではなく尿失禁を考慮した診察が必要になります。
夜尿症の治療内容
生活習慣の見直し、お薬の内服、アラーム療法があります。最初に2週間、生活習慣を改善して記録をつけていただき、その効果を確認します。その上で必要に応じて、ご本人や保護者の方とご相談しながら治療方針を決めていきます。また、ご家族が「怒らない・できるだけ褒める」ことを心がけるようお伝えしています。
生活習慣の見直し
生活習慣を見直して改善することで、20~30%の夜尿症が改善すると報告されています。水分摂取の仕方や量、食事時間、塩分摂取、就寝前に必ずトイレに行くなどの生活習慣の改善です。尚、夜中に起こしてトイレに行かせる必要はありません。
お薬の内服
薄い尿が大量につくられてしまうことを抑えるミニリンメルトOD錠を処方します。70%程度の夜尿症が改善するとされています。効果が十分に得られない場合には、他の薬剤を併用することもあります。また、経過を観察して必要と判断された場合には、連携している専門医ご紹介しています。
アラーム治療
水分を感知する小さなセンサーをパンツにつけて就寝する方法です。おねしょをするとセンサーが水分を感知してアラームが鳴ります。おねしょをした瞬間、すぐに本人が認識できるので、睡眠中に膀胱にためられる尿量が増え、おねしょの量や回数の減少を図ります。
尿路感染症について
尿は腎臓でつくられて、尿管・膀胱・尿道という尿路を通って排出されます。細菌やウイルスによって尿路が感染している状態が、尿路感染症です。乳児期の発熱は約5%が尿路感染症によって起こっているとされており、男の子は1~2%、女の子は3~5%に発症するとされています。1歳未満は男の子に多く、それ以降は女の子に多い傾向があります。
原因
約80%が大腸菌によって起こっているとされています。大腸菌以外による感染や複数の細菌が原因になっているケース、尿路感染症を繰り返すケースでは、腎尿路異常の疑いがあるため精密検査が必要です。
主な症状
症状を訴えることができない乳幼児では、発熱・不機嫌・食欲低下などが主な症状とされています。実際には、こうした症状だけでは診断できませんので、診察して発熱などの原因が明らかではない場合に、尿路感染症の可能性を考慮した検査を行います。
症状を訴えることができる年長以上では、排尿時の痛み、下腹部不快感、腹痛、腰背部痛などの症状を訴えることがあります。また、明らかに頻尿になったことで保護者の方が気付くケースもあります。
検査と診断、治療
尿検査と尿培養検査を行います。尿培養検査は結果が出るまでに時間がかかりますが、細菌の種類を確定できますので適切な治療が可能になります。
乳幼児の尿採取に関しては、採尿袋では正確な検査ができないため、痛みを伴いますがカテーテル挿入による尿採取が必要です。
なお、大腸菌以外による感染や複数の細菌が原因になっている場合、そして尿路感染症を繰り返す場合には、腎尿路異常の疑いがあるため精密検査を行います。
細菌感染によって発症している場合には、抗菌薬投与します。入院による治療が必要になるケースもあります。
血尿・蛋白尿について
検尿で行われる尿潜血や尿蛋白の検査は、腎臓病などの早期発見を目的に行われています。血尿や蛋白尿はいずれも治療が必要のない生理的な変化の場合もありますが、治療が必要な腎臓病や膠原病などによる初期症状の可能性もあります。健康診断で行われる検尿で異常を指摘された場合は、早めに受診してください。
生理的な血尿・蛋白尿
激しい運動、ストレス、発熱などによって尿に血液や蛋白が漏れてしまっている状態です。やせ型体形の場合、思春期に体位性蛋白尿(起立性蛋白尿)で尿蛋白陽性になることがありますが、これも生理的蛋白尿です。また月経血の混入やビタミン剤などの薬物の影響で血尿を示すことがあります。生理的な異常所見は精密検査や治療の対象にはありませんが、本当の病気の初期症状とも見分けがつかないこともあるので、定期的なフォローが必要とされます。
病的な血尿・蛋白尿
慢性糸球体腎炎、IgA腎症、ネフローゼ症候群、膠原病といった腎臓の病気の可能性があります。また、腎臓以外の病気でも血尿や蛋白尿が出ることがあります。精密検査を行い、結果に応じて適切な治療を行います。
尿異常の場合に行う検査
突発的な原因による尿異常ではないかを調べるために、複数回の尿検査を行います。より正確な結果につながる早朝第一尿(翌朝起床後最初の尿)を採取して調べます。血液検査、腹部超音波検査なども行うことがあります。検査の結果、必要がある場合には連携している基幹病院をご紹介しています。
こどもの包茎について
亀頭(ペニスの先端)に包皮が被っている状態で、男の子の場合、生後すぐは全員が包茎で、生後6か月未満では95%以上、3~4歳では約50%、11~15歳で約30%以下が包茎とされています。そのままでいいのか、手入れはどうしたらいいのか、臭いが気になる、清潔を保てないなど、お悩みやご不安がありましたらご相談ください。
治療した方がいい包茎
排尿時に尿がうまく出ない(包皮が風船のように膨らんだり、尿が変な方向に飛んでいってしまう)、尿路感染症や亀頭包皮炎を繰り返す場合は、治療を検討します。また、亀頭包皮炎などによって閉塞性乾燥性亀頭炎を起こしている場合も治療を検討します。嵌頓包茎では早急な治療が必要になるケースもあり、注意が必要です。
尿路感染症は、尿管・膀胱・尿道などが細菌に感染して炎症を起こしている状態です。亀頭包皮炎はペニスの先端が細菌に感染して赤く腫れ、痛みを起こします。閉塞性乾燥性亀頭炎は、包皮が白く瘢痕化している状態で、進行すると包皮が硬くなって先端が狭窄し、閉塞することもあるため、早めに受診してください。
なお、嵌頓包茎は包皮を下げて亀頭を露出させた際に、包皮を戻すことができなくなって亀頭が腫れてしまっている状態です。激しい痛みを起こしますが、慌てずにゆっくり優しく戻してあげてください。戻せない場合にはすぐに受診しましょう。
治療
少量のステロイド含有軟膏塗布による治療を1~2か月続けることで、70~80%治療効果が期待できるとされています。1日2回、包皮を優しく下げて、下がらない位置に少量の軟膏を薄く塗布します。なお、嵌頓包茎になって優しく戻そうとしてもできない場合には、すぐに医療機関を受診してください。
また、こうした治療で十分な効果が得られず、感染症などを繰り返す場合には、手術を行うこともあります。
亀頭包皮炎について
亀頭が細菌に感染して炎症を起こしている状態で、ペニスの先端が赤く腫れて、強い痛みをともないます。出血や膿、排尿時の痛みを起こすこともあります。
原因
包茎の場合、包皮をむけないので内側に細菌が繁殖しやすいため亀頭包皮炎を繰り返すことがあります。また包茎ではなくても、おむつや下着の蒸れ、汚れた手でペニスを触る、しっかり洗えていないなどによって、亀頭包皮炎を起こすことがあります。
治療
多くの場合は感染巣の洗浄と包皮への軟膏(抗菌薬含有ステロイド剤)塗布で改善します。炎症が強かったり、治りにくいものには抗菌薬の内服治療を併用することがあります。繰り返す場合は包茎の治療を推奨することがあります。
停留精巣について
陰嚢を触れても中に睾丸(精巣)の存在が分からない場合に疑われます。新生児の4~7%は停留精巣があるとされていますが、生後3か月までには自然に精巣が下降して60~70%が改善するとされています。ただし、停留精巣は、男の子の泌尿器疾患で最も多く、発症頻度は生後3か月児の1~1.5%とされています。
停留精巣を放置すると、将来の不妊や悪性腫瘍(精巣腫瘍)などの原因になる可能性があります。普段はよく分からず、入浴時などにだけ触れて存在が分かる移動性精巣などもありますので、疑いがある場合にはお気軽にご相談ください。
診断と治療
触診によって診断しますが、精巣挙筋反射などで初診時には判断できない場合もあります。そのため、複数回診察して診断することもあります。1歳になっても自然に精巣が下降してこない場合には、精巣固定術という手術を検討します。2歳くらいまでに手術を受けることが推奨されていますので、早めにご相談ください。尚、手術が必要になった場合には、連携している基幹病院をご紹介しています。
新生児月経について
女の子は赤ちゃんの時期に月経のような出血を起こすことがあります。これは新生児月経で、生後3~5日頃に性器出血がはじまって1週間程度続きます。誕生前は胎盤からママの女性ホルモンが胎児に伝わっていますが、誕生後は女性ホルモンの影響を受けなくなるため赤ちゃんの子宮内膜が剥がれて新生児月経が起こります。知らないと慌ててしまうと思いますが、治療は必要ありません。
新生児帯下について
女の子の赤ちゃんに起こる白いおりものが新生児帯下です。ママの女性ホルモンが影響して新生児期だけに起こり、生後2週間程度でおりものはなくなります。自然なものですから心配ありませんし、治療も必要ありません。